盲導犬の説明
目の不自由な方の外出を優しくサポートしてくれる犬です。
補助犬としては、もっとも古くから認知され、皆さんにも馴染みの深い役割の犬でしょう。盲導犬の役割は、目の見えない障害者が安全に街中を歩くことが出来るように案内することです。本来は杖を使い、杖の範囲内と聴覚を便りに歩いていた方が、盲導犬によって大きな安心を得ることが出来ます。
はじめに
人間と犬との出会いは、およそ一万二千年から二万年前ぐらいといわれています。私達、人間は、様々な形で犬との関係を持って暮らしています。一般的には、よく知られているのは、ペットや番犬などですが、人間の生活を助けている牧羊犬、寒冷地で橇を引く橇犬、警察犬、阪神大震災で知られた災害救助犬、医療関係や老人ホームなどでリハビリや癒しを目的としたセラピードッグなどがあります。また、平成十四年十月に施行された補助犬法に規定され補助犬という名称で呼ばれるようになった聴導犬、介助犬、盲導犬などがあります。視覚障害者の移動手段の一つである盲導犬は、歩くための手段だけではなく心の友でもあるのです。
盲導犬の歴史
- ギリシャ時代の古都ポンペイの遺跡に残された壁画や中国の絵巻物にも視覚障害者と犬の関係が記述として残されています。
- 1819年になってようやく盲導犬に対する建設的な考えが登場しました。オーストリアのヨハン・クライン神父が盲導犬の訓練はどうあるべきかを一冊の書物まとめたものを1819年に出版しました。
- 現在のように犬を視覚障害者の手引として合理的に教育する訓練法が考え出されたのは第一次大戦の時です。
- 戦争で失明する兵士が増え、あらためて盲導犬が着目されました。
- 視覚障害者の案内役として系統だった犬の訓練が1916年ドイツ赤十字のシュターリング氏とドイツシェパード協会のシュテファニッツ氏がオルテブルグに盲導犬訓練所を開設し開始されました。
- ドイツで1923年ポツダムに国立の盲導犬学校が設立されました。
- ドイツで本格化された盲導犬育成事業は以後、スイス、オランダ、イギリス、等のヨーロッパ諸国、アメリカ、オーストラリアへと世界各地に広がっていった。
- 日本では、1938年にアメリカの盲導犬使用者が旅行の途中に日本に立ち寄り日本にはじめて盲導犬が紹介されました。
- これが契機となり翌年1939年日本シェパード犬協会の熱心な愛犬家がドイツのポツダム盲導犬訓練所から訓練された盲導犬4頭を輸入し失明軍人に寄付した。
- 第2次大戦の激化により盲導犬事業は途絶えました。
- 1957年日本で訓練された国産第一号の盲導犬『チャンピィ』が育成されました。
- 1967年から2001年までに組織的な盲導犬育成施設が設立された。
現在、わが国には、九施設、十ヶ所の盲導犬育成施設があります。平成15年3月現在、わが国には927頭の盲導犬が視覚障害者に使用されています。